こんにちは!カズマです🎍
お正月、コタツに入ってぼけっとテレビを見ていたら、映画版『レ・ミゼラブル』が始まりました。
最初はスマホをいじりながらなんとなく眺めていたのですが…ものの数分で物語に引き込まれました。
なんて言えばいいのか🤔愛や赦し、覚悟のような美しい部分だけでなく、貧困、不正義、死という
暗い部分までものすごく丁寧かつ強烈に描かれていて、言動の一つ一つが刺さってきます。
また、主人公のジャン・ヴァルジャンが再生に踏み出したのは46歳のこと。
罪人から聖人へと昇華していく彼と変わらぬ年齢の僕は、正月ぼけに包まれコタツで映画鑑賞📽
これはあかん!!と思い、すかさずこのブログの筆を執った次第です(笑)
まぁとにかく、あまり記憶にないくらい心を揺さぶられました。
さすが出版から160年経った今でも、フランス文学の最高峰🇫🇷と言われるだけのことはありますね。
今年のやることリストに『レ・ミゼラブル』の原作読破とミュージカル鑑賞を加えたいと思います!
クラフトレンズについて
さて、今回は「クラフトレンズ」というガラスの特殊加工レンズについてお話しさせてください。
以前みことさんが以下の記事で一部を紹介してくれました。

こちらでご紹介しきれなかったものを中心にお伝えしたいと思います☝
クラフトレンズとは、その名の通り「手造り(手仕事)のレンズ」のことです。
一般的に通常のメガネレンズは、度数をつけるために機械でレンズの裏面の研磨を行います。
レンズの種類や技術も日々進化しており、ほとんどの度数はこれでカバーできています。
ただ眼の疾患や仕様用途によっては、通常では作れない特殊な度数が必要な方もいらっしゃいます。
そんな方のご要望にできる限り寄り添えるのがこのクラフトレンズなんです!
機械でできないのならば、人の手で造る。まさに職人技ですね🔨
クラフトレンズの種類をご紹介!
ここからはクラフトレンズの代表的なものをご紹介します!
貼付キャタラクト
強度の遠視や弱視、白内障術後に何らかの原因で人工水晶体が入れられなかった方など、
非常に強いプラスの力が必要な場合に、少しでも薄く軽くできるよう工夫されたレンズで、
「レンチキュラー」と呼ばれることもあります。
見た目は非常に特徴的で、このように目玉焼きのような形状をしています🍳

プラスレンズは、度数が強くなればなるほどレンズの中央部分が厚くなります。
この分厚いレンズを薄くするには、レンズのサイズ(外径)を小さくするという方法があります。
先の図のサイズが65mmと仮定して、これをどんどん小さくしていくと…

度数は原則「表カーブ-裏カーブ」で計算されるので、レンズの表と裏のカーブさえ変えずに
小さくしていけば、度数を維持しながらこのように薄くできるんです👌
ただ、メガネとして考えた時、あまり小さくしすぎるとフレームにはまりませんよね。
そこで、度数が入っていないレンズをある程度の外径で台座としてくっつけることで、
メガネのサイズにカットできるようにしたのが貼付キャタラクトです。
弱視は小さなお子さんであることがほとんどで、無水晶体の場合はかなり強度のケースが多く、
少しでも薄く軽くできるこのレンズは非常に重宝されています。
そして貼り合わせ自体はもちろん、度数の部分を小さく削る技術やレンズを貼り合わせることで
生じる僅かな度数誤差の修正など、職人技が詰まったレンズなんです💪
調光貼付け
度付きのガラスレンズの表面に、度なしのガラス調光レンズを貼り合わせたものです。
通常のガラスの調光レンズは、以下のようなデメリットがあります。
①厚みによって色にばらつきが出る
②屈折率が低いレンズ(1.525)しかないため、製作範囲が狭く厚みも出やすい。
これらを解消することができるのがこの調光貼付けです。
①の厚みによるばらつきの仕組みですが、ガラス調光はレンズの生地に紫外線によって発色する
物質が練り込まれています。
レンズが厚くなればなるほど含有する物質の量が多くなるため、より色濃く変わります。

この現象を解消するために、度付きのレンズの表面に度なしの調光レンズを貼り付けます。
先の写真のように、度なしは厚みが一定のため色にばらつきがありません。
また、厚みによる濃度の原理に基づいてこの度なしを厚くしたり薄くしたりすることで、
濃さの上限もコントロールすることができるんです⚖️
②については、強度の近視の方が対象になります。
屈折が低いのでそもそもできる範囲が限られますし、作れても厚くて重く、色のばらつきも出る。
このお悩みを、度付きの部分は高屈折の薄くて強度にも対応できるレンズで製作し、
その上に度なしの調光を貼り付けることで解消することができます!
このようにかなりの優れものなのですが、近年ではプラスチックでも様々な種類の調光レンズが
販売されており、ある程度の度数はカバーできますし構造の違いで色のばらつきも出ません。
こちらに置き換えられていることは事実ですが、ガラスファンが多いこともまた事実です。
そういうご要望にお応えできるよう、しっかりと作り続けていきたいと思います😤
貼付多焦点
この2点は、先のみことさんの記事でもご紹介したので少しだけ補足を💡
通常の遠近両用や多焦点(バイフォーカル)は、近くを見るための度数の上限が決まっています。
なぜかと言うと、度数を付ける前の生地に近くを見る部分の度数を埋め込む必要があるため、
一般的な度数(+1.00~3.50)にて上限・下限を決めて生地を準備しています。
仮に調節力がほぼ残っていなくても+3.50の部分で見れば30cm弱までピントは合うのですが、
もっと近くの作業をされる方や、何らかの理由でこれでは足りない方も稀にいらっしゃいます。
また、原則近くを見る部分はメガネの下方にあります👀
でも、職業によっては上の方を見ながら近業作業が必要な方もいらっしゃいますよね。
こういったケースに合わせて、小玉(近くを見る部分)を手作りで規定外の度数に対応したり
ご所望の位置に貼る、ということまでできるんです!
この「小玉」は本当に薄く小さくて、すごく繊細な作業が求められる非常に難度の高い技術です。

…と、ここまで3種類をご紹介しました。
まだまだお話したいレンズや技術があるのですが、それはまたの機会に!!
まとめ
「クラフトレンズ」は、以前に以下の記事でもご紹介した通り、
弊社の原点とも言える鴨田工場で職人が一子相伝の技術を繋いでいます。まるで北斗神拳👊
オートメーションやAIが全盛のこの世の中で、人の手でしか作れない貴重なクラフトレンズ。
他社にはできない東海光学の強みとして、これからも大切に繋いでいきたいと思います💪