東海光学お客様相談室です。
その④では60代以上の方に向けたレンズ選択をアドバイスさせていただき、「スマホメガネ」の最終回といたします。
20代~50代の方向けに関しては以下をご確認下さい。
その①:スマホに適したメガネレンズ(20代・30代・40代前半向け)
その②:スマホに適したメガネレンズ(40代後半向け)
その③:スマホに適したメガネレンズ(50代向け)
先のその②の中で使用した図の再掲になりますが、以下をご覧ください。
個人差はありますので「一般的に」という表現になりますが、60歳を超えてきますと一層調節する力が衰え、視力補正をした状態で近くにピントがあう距離は「2m」となります。
この状態では、遠近両用や近中/中近両用で加えられる最大限の加入(近くにピントを合わせる力)を入れても、「20cm」の距離に合わせることが難しくなります。
○60代以上の方へのおすすめ
上記を鑑みたうえで60代以上の皆様へのおすすめさせていただくレンズですが、「スマホを見る」という観点では遠近や近中/中近ではなく「近く専用」のレンズ=「近用ワイドビジョンレンズ」へ掛替えが最適と考えます。
詳細はこちら → 近用ワイドビジョンレンズ
遠近両用に関しては更にピントを合わせる力が必要になってくるため、一層視野は狭くなり歪みも強くなります。
また、近中/中近両用も年齢を重ねるにつれ徐々に手元より先にピントが合う距離が短くなっていき、もはや「室内用」と言えるほどの距離ではなくなってしまいます。
こうなってくると、スマホを含めた近くの作業は一般的に「老眼鏡」と言われるレンズの出番です。ただ、この「老眼鏡」はピントを合わせる場所(=焦点)が1つしかなく、「〇〇しながら△△する」という行動が非常にしにくいものです。
仮に「スマホ専用」と決め打って20cm程にあわせた老眼鏡を掛けますと、例えば机の上に置いてあるコーヒーにはピントが合いません。隣りに座っている大切な方の顔も見にくいでしょう。そんなシチュエーションで「近用ワイドビジョンレンズ」は効果を発揮します。
遠近は元々が近くを見る(=レンズの下を使う)時に近くにピントを合わせる力を付加していますが、このレンズは少し先を見る(レンズの上を使う)時に近くにピントを合わせる力を減らすことで焦点を変える、という仕組みのレンズです。また、近くに特化している分、遠近や中近に比べかなり左右の視野は広くなります。
簡単にまとめると、手元よりちょっと先まで見える「進化した老眼鏡」ということです。
健康寿命や定年がどんどん伸びている昨今においては、60歳を超えても自宅でもお仕事でもパソコンを使用される方が多くいらっしゃることかと思います。
スマホに限らず、このレンズはデスクワークに非常に適したレンズですので、そうしたライフスタイルの方には是非ともお試しいただきたいものです。
こちらも体験談がございますので是非ご一読ください。
→ 近用ワイドビジョン「デジラク」を試してみました
→ 近用ワイドビジョンレンズ
それでもどうしても掛替えは煩わしい・1本で済ませたい、という方は前記事のその②でご紹介した9mmのような累進帯長が短いものをおすすめします。
詳細はこちら → ベルーナ エナジー
おすすめの理由は近用部の広さはもちろんですが、下方への視線移動のし易さにあります。
加齢に伴い、視線を下へ動かす力(下方回旋)も次第に衰えていきます。これに対し、移動距離が短くても楽に近くにピントが合わせられることが最大のメリットになります。
逆にゆれや歪みは強く出てしまう、というデメリットがありますが、「1本で済ますこと」にこだわられていらっしゃる方であれば、これまで何年間も遠近両用中心の生活であったケースが多く「遠近両用上級者」とも言え、ゆれ・歪みへの慣れが見込めますので、ご一考頂く価値はあるものと思います。
○全てのお客様に
最後に、お困りごとの一つである「ブルーライトなど、有害な光が気になる」という点ですが、もちろんこれらをカットすることは重要です。
ブルーライトは目への影響はもちろん、体内時計をはじめとする精神や肉体的な部分にも悪影響を及ぼすとも言われております。様々なデバイスに触れる機会が多い現代社会では、もはや必須のオプションといっても過言ではないと思います。
様々な有害な光から目を守るには特殊な機能、カラー、コーティングを付加したメガネの装用は非常に効果的ですので、こちらも併せてご検討下さい。
からだ想いのケアレンズ:ルティーナ
カラー:遮光眼鏡 ファインカラー フィールカラー
コーティング:ブルーライトダメージコントロール (BDC) ブルーカットコート / ティービーシー
※ブルーカットコートに関しては、こちらもご覧下さい。
→ コンタクトユーザーにもおすすめ!ブルーカットで疲れ目対策!
以上、全4回に渡り、長文にお付き合い頂きありがとうございました。
視点が「スマホを見る」というものですので、若干偏ったご紹介になっているかもしれません。こちらでご紹介させていただいた内容を参考に、皆様の目の具合やライフスタイルも含め眼鏡店様とご相談頂ければ幸いです。
※参考:長時間スマホを見ているとピントが合わなくなる!それは危険なサインかも!
「スマホ」は今や生活において必需品と申し上げても良いかと思います。5年前、10年前はここまで普及し、生活に入り込んでいくとは予想もしていませんでした。
めまぐるしい変化の中で、弊社もメガネレンズメーカーとして時代に即した商品を研究・開発し、皆様の快適な視生活の一助となれるよう今後も精進して参りますし、このコーナーでも少しでもお役立ていただけるようなアドバイスを発信して参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。
2019年 4月 初版
2024年 1月 更新