東海光学お客様相談室です。
調光レンズは改善・改良でのリニューアルが比較的早い間隔にて行われますので、いつも調光レンズをご利用されているお客様はいつのまにか新タイプに代わっていることもあるかと思います。そして今回も紫外線反応型タイプがリニューアルしました(2014年4月)ので、早速そのレンズをモニターし、以前投稿させていただいたこの調光レンズの体験レポート内容も更新させていただきます。
尚、別途体験談の“可視光でも色の濃さが変わる新タイプの調光レンズ”体験談も可視光反応型タイプであるトランジションズ エクストラアクティブと今回の紫外線反応型最新バージョンのトランジションズS(シグネチャー)との比較内容にメンテナンスしましたのでそちらもご確認ください。ただ高温では濃く変化しにくいという温度依存性がすべての調光レンズにはありますので、その変化度合を検証する“夏編”に関してはもう少し気温が上がったころに試した後、その結果にて更新していく予定です。
それではまず紫外線反応型の調光レンズの特徴をご説明します。
- 屋外などで紫外線にあたるとレンズの色が快適な濃度に自動的に変化し、室内に入ると徐々に戻ります。従来品よりもその濃さや反応速度などの環境適応性が高まりました。
- 紫外線カット仕様のウインドガラスに覆われた車内ではあまり濃くなりません。
- 日傘や帽子などで紫外線を遮ったり、日陰の状態ではピーク時の濃さまで変化しません。
- カラーはブラウン・グレーの2色。ブラウン、グレーとも従来品よりも赤みを抑えた色目に。
- 温度依存性があるため温度が低いほどよく調光反応しますので、夏場など気温が高い環境下では気温の低い冬場ほど濃くなりませんが、従来品よりもその差が若干縮まりました。
- バリエーションですが、従来品と同じく単焦点レンズと遠近両用レンズ(レゾナスタイプとレゾナスフィットタイプ)の2種類あり、素材も基本屈折率1.60になりますが、遠近両用レンズのレゾナスタイプのみ、1.70・1.76にも対応できるようになりました。
- 汚れがつきにくいプロガードコートとUVカットがすべて標準仕様となっています。
今までは単純に顔を太陽に顔を向けて濃度変化しやすい状態での確認をするなど画一的な観察でしたが、なるべく自然な状態を心がけました。尚、今回はブラウンを試しましたが、可視光線で反応するエクストラアクティブとの比較はグレーで行いましたので、そちらもご確認ください。
それでは早速報告させていただきます。
1.昼、屋外に。気温22.9℃、晴れ
5秒
15秒
30秒
1分
5分後
すぐに着色が始まりました。1分後と5分後があまり変わらないようなのでかなり早くピークを迎えたようです。ただ、同じくグレーも試しましたがグレーほど濃くなりませんでした。
それにしても目つきが悪いですね、驚きです。申し訳ございません。
グレー5分後
※注:向かって左の黒っぽいレンズは可視光反応型エクストラアクティブ、右は紫外線反応型で試しましたので左右少し色調が違って見えます。
2.室内に戻り、退色の様子を見ます。
30秒
60秒
3分
10分後
色が戻るには少し時間がかかるようですが、グレーよりもピークの色が薄い分グレーよりも早めに戻っているようです。
3.次に車の中での変化を見ます。UVカットガラス装着車でテストしてみます。想像では紫外線がカットされているため反応しないのではと思います。
5分後
やはりほとんど変わりません。しかし直射日光にあてればどうなるかダッシュボードの上に置いてみました。
3分
なんと屋外での濃さにまではなりませんでしたが、ある程度変化しました。驚きです。この後、車メーカーに本当にUVカットガラスか確認しましたが、紫外線は100%カットしているとのことでしたので、まちがいはありませんでした(カットしている波長域まで詳しくわかりませんでしたが)。となると今回のリニューアルしたレンズは紫外線反応型であっても可視光域の一部まで反応してしまうことになります。ただ、直射日光のあたらない運転姿勢ではあまり変化しません。このことは可視光反応型のレンズ体験談もご覧ください。
<まとめ>
初めて調光レンズをかけられる方はその変化に非常に驚かれることと思います。着色は皆さんが想像される以上の変化スピードではないでしょうか。かけたまま自動的に濃くなっていきますのでかけている本人はそんなに変化していないと思っていても写真で見るとかなり濃くなっていて驚きます。逆に退色に関しては着色スピードよりもゆっくりですのでその点はイメージの修正が必要かと思います。遅いと思いながらもいつのまにか元に戻っているといった感じかと思います。しかし早く試してみたくなる楽しいメガネです。尚、ブラウンかグレーかどちらにされるかは選ばれたフレームのカラーなどに合わせてチョイスされれば、よりおしゃれになるのではないでしょうか。かけた感じではブラウンのほうが緑の景色のめりはりがありきれいに見えましたのでウォーキングなどにいいのかもしれません。それに比べ、グレーのほうは自然な感じで落ち着いて見えましたので長時間かけるにはグレーのほうが疲れにくくいいのかもしれません。
最後にこの調光レンズのご使用上の注意事項を申し上げます。
- フォトクロミックコートをレンズ表(おもて)面に施していますのでレンズ裏面から紫外線を当ててもレンズ素材にUVカット機能があるので色が濃く変化しません。
- レンズの表(おもて)面に拭きキズなどの損傷が入りますとその部分の調光機能が弱くなり、色むらのようになる場合があります。
- 調光レンズの特性上、経年変化により、色が戻りきらなくなります。
- 使用環境(天候・気温・紫外線量)の違いによって色調および濃度の変化が異なります。
- 温度依存性がありますので冬よりも気温の高い夏のほうが調光反応が弱く冬ほど濃く変化しません。
- 着色した状態でのトンネル内の運転や、薄暗い場所での運転は非常に危険ですので使用しないでください。
- 傘や帽子で紫外線をさえぎったり、紫外線カットガラスに覆われた車の中ではあまり濃くなりません。
- 普通のメガネと同じく車の中で保管はしないでください。熱の影響でコートの不具合などが起きてしまいます。
参考:体験レポート ~太陽光で色の濃さが変わる調光レンズ(夏編)~
注意事項が多くて申し訳ございません。ただご購入されてからこんなはずではなかったということのないように細かく表現させていただきました。調光レンズの特徴をご理解いただき、是非快適にお使いいただければと思います。
このような体験談を通し、眼鏡作りに悩まれている方に少しでもお役に立てばと願っておりますので、ご質問やリクエストなどございましたらご連絡ください。どうかよろしくお願いします。
2009年 4月 初版
2024年 1月 更新