レンズ不具合事例:メガネレンズに細かい線(ひび)が入った!?

東海光学お客様相談室の水谷と申します。

お客様相談室に入るお問い合わせの中にはメガネレンズの不具合についてのお申し出もございますが、その中でお客様にとっても弊社にとっても非常に残念な事例をあげさせていただき、同じようなことが少しでも起きないようにとの願いを込めまして掲載させていただきます。

<事例>

メガネを購入し1年も経っていないのに、レンズに線のようなものが入ったが、不良品では?

状況をまずお聞きすると昼間は気づかないが、夜運転中に対向車のライトが分散して見えるようになった。レンズをよく見ると全体に線が入っていることが分かったとのことでした。

このような場合、お電話だけでは状態も原因も判断できませんので一旦ご購入された眼鏡店を通じて現物を確認させていただき回答させていただきます。検品の結果は、熱が起因しているものがほとんどでした。

以下の写真は過去に検品させていただいたレンズの一部になりますが、横一列3枚(外観・部分拡大・歪確認)が同一のレンズになります。

<見解>

これらのレンズのひび割れ(クラック)は既に入り始めてからある程度日数が経ちかなり目立つようなものになっています(初期段階では応力の集中する中心部あたりに特に目立って入ります)が、これらレンズの共通の特徴はダメージを受けているレンズ全体に線が入っていること、その線は表層部分のコート層に入っていること、拭きキズのように直線ではなく蜘蛛の巣状になっていること、そしてかなり強い歪が入っていることになります。

このような状態になるメカニズムについて説明させていただきます。プラスチックレンズは中心にレンズ基材がありその基材を保護するためのハードコート層、その上に反射防止コート、そして一番表面に撥水コート層がございます。このレンズの元となっている基材は有機質で高温になると膨張しますが、無機反射防止コートは基材ほど膨張しません。よって熱の影響を受け基材が膨張してしまうとコーティングがその膨張に追随できず地割れのようにひび割れてしまうのです。この状況に関して「車の製造では寒冷地から熱帯地区でも耐えられるように作っているがメガネ業界は甘いですね」と過去に車業界の方に手厳しいご感想をいただいたこともございますが、現状は一部の商品を除き熱には弱いものになっています。

※熱のダメージ http://www.tokaiopt.jp/et/P3-P4.pdf
※熱に強いコート http://www.tokaiopt.jp/lens/advice16.php

<熱ダメージと判断した根拠>

下の写真はオーブンにてレンズに60℃・65℃・70℃の高温の負荷を20分ずつ与えたものになります。徐々に膨張する模様が歪の色の変化でわかります。このように上の写真のような強い歪を入れるには下の写真のようにレンズを60℃以上の状態にし基材を膨張させないと入らないことにより、それだけの熱のダメージを受けてしまったことがひび割れの原因であると判断しております。

<実例>

ただ、そこで疑問が残ります。日常生活でそこまでの熱の影響を受けることはあるのかということです。過去に実験をしたことがありました。

外気温が23.3℃という本格的な夏になる前の時期での昼間、1時間駐車中の車内温度を測ってみました。するとすでにダッシュボード上では74.5℃、また後部座席周辺やダッシュボード内であっても60℃以上になっていました。つまり車の中への保管は真夏ではなくても、ダッシュボード以外の場所であっても、またわずかな時間であったとしても危険であるということです。専用のサングラスホルダーなどがある車もありますが、それは運転中の一時保管場所と思ってください。

次に日常生活の中で考えられる状況としましては、焼肉でのホットプレートや、バーベキューでの鉄板や炭火などからの放射熱はいずれも70℃以上になります。たとえば焼肉屋で鉄板の付近にメガネをいったん置かれるなどは非常に危険です。またヘアードライヤーや暖房器具からの熱風も可能性はございますし、機会は少ないかもしれませんが焚き火などもそうです。水と空気の熱伝導は違いますので50℃以上のお風呂はかなり熱く感じますが、サウナなどでは80℃近くでもがまんできるように、60℃以上になっていても危険とは思わないことがほとんどで、熱の影響を受けたこと自体思い出せない可能性がございます。よってそのような状況はなかったかどうかお聞きしても心当たりはないと言われる方がほとんどです。

これらの熱クラックと呼ばれる現象は同じ人に繰り返し発生する傾向がございます。もしそのようなことが発生した場合はレンズやメーカーを変えても解決できないと思ってください。自社レンズの品質の悪さを棚に上げてと、またそれは開き直りではないかと思われるかもしれませんが、写真が示す通り、レンズが膨張してしまうほどの影響を受けてしまっていることは明確ですので、その環境や状況を特定していただくことが解決への早道になると思います。

以上になりますが、今回のようなテーマはあまり歓迎されない内容かもしれませんが、情報提供させていただくことでメガネを快適に長くお使いいただくことに少しでもつながればと思って投稿させていただきました。どうかご参考にしてください。

参考 http://www.tokaiopt.jp/et/eyecare13.php

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次回のワンポイントアドバイスは「遮光・偏光オーバーグラスとお子様用オーバーグラス」です。

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