実験レポート ~熱に強く丈夫なオーガニックシールドコート~
お客様相談室の水谷です
お客様相談室からのワンポイントアドバイス Vol.16 実験レポート ~熱に強く丈夫なオーガニックシールドコート OSC~

東海光学お客様相談室の水谷と申します。

このお客様相談室へのお問い合わせの中に、「知らないうちにレンズに白い線のようなものが入ってしまいました。最初は気付かなかったのですが、夜、車の運転をしていてライトがキラキラ見えるようになり、おかしいと思ってレンズをよく見てみたら、クモの巣のように線が入っています。これはどうしたのでしょうか?」と言ったようなご質問をいただくことがあります。そのような場合は、ご購入店を通じ検品させていただき実際に見させていただくことになるのですが、検品をさせていただきますと、その原因は熱によるコーティングのひび割れ(クラック)であることが非常に多いことに驚かされます。

その熱によるひび割れつきまして、そのメカニズムをまず説明させていただきます。

プラスチックレンズは熱に弱いということをご理解ください。プラスチックレンズは基材の上に何層ものコートが施されています。プラスチックレンズの基材は温度が上がると膨張します。しかし表面にコーティングしてあります反射防止コートは金属のようなものですのでプラスチックレンズほど膨張しません。そこで基材が膨張した場合、コートは追随できず、地割れのようにひび割れてしまいます。使用年数に関係なく約60度以上の熱の影響を受けた時に入ります。その場合、必ず熱膨張した跡がレンズには残りますので歪み計でその有無を確認することで、他の原因との識別が可能です。その他レンズの表面のコーティングが剥げてしまう場合がございますが、一般的には突然剥げるということではなく、熱クラックや拭きキズから水分などが染み込みコートを浮かせて剥げていくことになりますので、剥げてしまった本来の原因も同じく熱による影響でのクラックがほとんどになります。

※レンズの構造やお取り扱い上のご注意などは以下をご参考にしてください
メガネと快適におつきあいいただくために。

<熱の影響を受けてしまったレンズ例>
ひび割れ
全体的に白い線(ひび割れ)が入っています
歪み
歪み計で見ると膨張した跡が残っています

日常生活の中で60度以上になる状況は私も少ないと思っていましたが、実際は想像以上にあるのかもしれません。焼肉時の炭火や電熱器、クッキングヒーターからの放射熱、暖房器具のファンヒーターやストーブ、ドライヤーからの熱風、気温20度以上で天気の良い日外に止めてある車の中、サンデッキやサウナなど全て60度以上になります。ただ、そのように熱の影響を受けた記憶がないとも言われますので、まだまだ他に影響を受ける環境があるようです。レンズ素材を膨張させるだけの熱の影響を受けてしまった状況が何かあったとは思いますが、具体的な状況の特定もできませんので、理解していただくことが非常に難しいものになっています。そこでそのような残念なことを繰り返さないために、弊社は表面のコーティングをレンズ素材と同じ伸縮性を持つ有機コートにすることで熱に強いコーティングにするための開発を行い、ついに実現させることができました。現在は一部の商品から販売を始めております。
参考: オーガニックシールドコート

今回はその有機コートであるオーガニックシールドコート(OSC)を施したレンズの性能を試すために実験をしてみましたので、その結果をレポートさせていただきます

■実験内容

梅雨の時期でもあるためテスト開始日がかなり遅れてしまいましたが、運よく晴れが続いた週に車の中へOSCのメガネを4日間、普通のコーティングのメガネを1日だけ置きっぱなしにし、その変化度合いをチェックすることにしました。
非常に単純な実験ですが熱の影響を確実に受ける一番身近でできる簡単な方法です。
ダッシュボード放置写真
尚、車の中の温度といっても実際にどれくらいになるのか測定もしてみました。

■温度測定結果

最高気温
 36℃
天気
 晴れ 一時 曇り
測定場所
 会社駐車場に停めた自身の車の中(舗装有り、屋根無し)
測定時気温
 33.5℃
ダッシュボード周辺温度
 68.5℃
後部座席日陰温度(参考)
 52.1℃
温度計測写真
(注意)
車内温度測定は一旦ドアを開けセンサーをすぐにセッティングし、あまりにも暑かったため15分程度で我慢できずに測定した温度になります。
昨年春、外気温23.3℃でダッシュボード周りの温度は74.5℃を計測したことがありますので、本当はもっと高くなったと思われます。

それでは実験前の状態の写真をご覧下さい。目視写真と歪み確認写真になります。ほとんど歪は入っておりません

目視写真
目視写真
歪み確認写真
歪み確認写真

OSC仕様のレンズ4日後の歪確認写真になります。この4日間は珍しく晴れの日が続き、連日最高気温は30℃超えでした。色つきのレンズでしたのでわかりにくいですが、歪はかなり入っているようです。よってレンズ素材が膨張したことがわかります。
4日後の歪確認写真

次に1日だけ放置した普通仕様のレンズですが、やはり熱の影響を受けこれも膨張したようです。クリアレンズなので歪がよくわかります。
1日だけ放置した普通仕様のレンズ

次にひび割れの有無を明るい光源の元で確認しましたがOSC仕様のほうは確認できませんでした。入るわけがないと思っていても、実際に何も変化がないレンズを見ると感動します。
OSC仕様のレンズ

それに比べ普通仕様のレンズは予想通り全体にひび割れが多く発生しているのが確認できました。
普通仕様のレンズ

これらのことより、普通仕様のメガネは車の中どこであってもまたわずかの時間であっても放置しないこと、車によってはサングラスホルダーのようなものも付いている場合もあるかと思いますが、運転時での一時保管以外は避けましょう。またいくらOSC仕様のレンズでも熱によるフレーム素材への変形や破損の可能性を考えると同じく放置しないほうがいいと思われます。

以上になりますが、過去にこのようなひび割れを経験された方は、この新しいOSC仕様のレンズにしていただければ安心ですが、そのメカニズムをご理解いただき、できる限りその原因と思われる状況を特定していただきますようお願いします。普通仕様のレンズであってもせっかくご購入されたメガネですので長く快適にお使いいただきたいと切に願っています。

このような体験談を通し、眼鏡作りに悩まれている方に少しでもお役に立てばと願っておりますので、ご質問やリクエストなどございましたらご連絡ください。どうかよろしくお願いします。

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次回のワンポイントアドバイスは「実験レポート ~メガネレンズの曇り防止 フォギーガードコート(FGC)~」です。