脳科学の産業応用が始まっている!

Dr.ブレインのよくわかる脳科学

5. 脳科学の産業応用が始まっている!

前述の脳の「見える化」技術の発達は、人間の情動や感情の解明にも役立っていて、大学や研究所だけではなく、民間企業でも、人間がどのように感じているかを計測する研究が盛んに行われています。すでに、脳科学の産業応用は始まっているのです。

脳科学の産業応用は、日本よりアメリカやヨーロッパの方が進んでいます。例えば、コマーシャルフィルムの評価をするのに、普通はフィルムを見た人にアンケートなどでどこが良かったか、悪かったかを質問したりしますが、脳波計をつけてフィルムを見てもらい、どの部分でいい反応が出ていたか、または悪い反応が出たかを計測して評価する方法なども研究開発されています。アメリカでは、おもちゃ屋さんで、簡単な脳波計を利用して脳で念じてボールをコントロールするゲームまで販売されています。

このような海外の取組みに比べると、日本の脳科学の産業応用はまだ緒についたばかりと言ってもいいかもしれません。ただし、車椅子を脳からの信号で動かす実験や、脳波で画面上のポインターを動かして、自分の考えていることを伝える実験など、日本でも世界的にも先進的な研究が精力的に行われています。企業でも、公表している例は少ないけれど、自動車、電機、IT、食品、建設など、さまざまな産業分野でいろいろな脳科学の産業応用に向けた研究が行われています。脳科学はもともと医療分野から始まりましたが、医療以外の分野への展開が確実に始まっています。

実は、その中でも、眼鏡業界ではじめて、東海光学では遠近両用レンズであるベルーナレゾナスの開発に脳科学を適用し、商品化しました。従来、眼鏡開発の際に行う見え心地の評価は、いわゆる主観評価という方法で、モニターとなる人が眼鏡をかけて、その見え具合を質問やアンケートに答える形式で行っていましたが、東海光学では、新たに脳波計測技術を利用してレンズの見え具合を客観的に評価する独自の方法を研究して、脳がどう感じるかを客観的に評価しました。従来の主観評価に加え、この脳科学を活用した客観的・定量的手法を導入することによって、より精緻にレンズの見え具合を評価できるようにして、眼鏡レンズ設計の最適化を実現しました。

脳波計測技術

脳の「見える化」技術は、これからもっと発達します。その発達に伴い、脳のことはより詳しくわかるようになります。そして、色々な産業分野で脳科学を活用して製品開発やサービス開発が行われるようになり、もっと快適で使いやすい、人間に優しい製品やサービスが出現してくるのは間違いないでしょう。レンズ開発に脳科学を適用する東海光学の先進的な取組みは、まさに脳科学の産業応用の先陣を切る取り組みの一つであるといえます。

2010年9月

東海光学は応用脳科学コンソーシアムの参加企業です。
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