脳と心の関係はどうなっているの?

Dr.ブレインのよくわかる脳科学

4.脳と心の関係はどうなっているの?

そうだとすれば、私たちが喜んだり悲しんだりするのも全て脳の指示なのでしょうか。脳は心と同じなのでしょうか。脳と身体はお互いに密接に関係し合っているので、心を理解するためには、脳だけではなく私たちの身体丸ごとを知ることが重要ですが、ともあれ、心の働きに脳が大きな役割を担っていることは間違いないようです。

心を理解するうえで記憶と同じように重要なのが「情動」という働きがあります。情動というのは、感覚器官からの情報に基づいて起こる身体的変化のことですが、この情動の働きにも脳が大きく関わっていると言われています。

情動は大きく快情動と不快情動に分けられます。快情動というのは脳が快いと感じる状態で、脳はその状態を求めて近づいたり、維持しようとしたりして身体に指示を出し、行動が起こります(専門的には快情動行動といいます)。例えば、美味しいお菓子やポテトチップスを食べると、ついつい食べ続けて食べ過ぎてしまいます。これは、人間にとって糖分、脂肪分、塩分などは必要不可欠であり、脳がその摂取を求め、食べることによって快いと感じているからです。大昔は、食べたいものがすぐ食べられる今とは異なり、空腹を満たす食物を得るのはたいへんでした。人間が生きていくために必要十分な糖分、脂肪分、塩分を取るのはたいへんなことでした。それゆえ、それらを求めて、得られたときには快情動が起こり、さらに、その状態を維持しようとするのです。その名残で、簡単に十分それらを取ることができる現代においても、それらを余分に取ってしまうともいわれています。

不快情動はその逆で、脳が不快だと感じる状態です。脳はその状態を遠ざけるために、攻撃的行動や逃避的行動に出ます(同様に、専門的には不快情動行動といいます)。例えば、親にしかられた子供が逆に親に対して文句を言ったり、その場を飛び出して逃げようとしたりするのは、脳が不快な状態を遠ざけようとしているからです。

ところで、情動と感情はどう違うのでしょうか。情動というのは、脳が感覚器官からの情報に反応して、ある指令を身体に出すことによって起こる身体の変化のことをいい、感情というのは、その身体の変化を意識した状態と言われています(アントニオ・ダマシオという脳科学者の説です)。

情動には快情動と不快情動があって、脳は快情動を求めて快情動行動をとり、不快情動を避けるために不快情動行動をとります。その状態を意識すると自分が今、どういう感情かがわかります。自分が意識している状態が感情であると理解してもいいでしょう。

これを知っていると、例えば、自分が渋滞の中をドライブしていてイライラしている、このイライラしている自分を自分の感情として意識して、自分の脳は今不快に感じて、その不快を解消しようと攻撃的に行動しようとしている、すなわち不快情動行動をとろうとしている、というように、冷静に脳が今どういう状態なのかが考えられ、イライラが少しは解消できるかもしれませんね。

もし私たち人間に情動がなかったら、人間は生き延びて来られなかったでしょう。情動、そして快情動行動、不快情動行動があるから、危ないところを避け、快適で安全な場所を求めることができ、子孫を繁栄し、ここまで生き長らえているということです。情動は人間が生きていくためには必要な機能なのです。

説明図

次のページは「5.脳科学の産業応用が始まっている!」です。

東海光学は応用脳科学コンソーシアムの参加企業です。
727-0322 BL0.3