Vol.59 スマホに適したメガネレンズその②(40代後半向け)

東海光学お客様相談室の尾上です。
今回は「スマホを利用する際に適した」メガネレンズの選び方その②として、40代後半の方に向けたチョイスをアドバイスさせていただきます。

さて、おさらいですが今回は以下のようなお悩みを持つ方が対象になります。
C.今の遠近両用だとあごを上げて見る必要があり、「いかにも老眼」という感じがイヤ。
D.そもそも老眼だからスマホを使うこと自体大変。
E.ブルーライトなど、有害な光が気になる。
※前回の文中より抜粋しております。A、Bに関しては前回分をご確認ください。
前回分:Vol.58 スマホに適したメガネレンズ前編(20代・30代・40代前半向け)

また、繰り返しになりますが老眼の仕組みに関してはこちらでご確認ください。
※参考:目の仕組みと老眼

その①のキーワードが「疲れ」であったとすれば、今回以降は「老眼」になります。

②そもそも「老眼」から来る使いづらさ
60代でもスマホを半数近い方が利用していると言われる時代になりました。70歳を超えても自由自在に活用されている方がたくさんいらっしゃいます。こうした流れの中で、各携帯キャリアもシニア層に向けたサポートサービスに力を入れ始めており、今後更に充実していくのは間違いありません。
ただ、いくらサポート面や機種などのハード面が充実したとしても、老眼による使いづらさは簡単に解消できるものではなく、お悩みになられる方は普及率の伸長に比例して増えていくことでしょう。

老眼は、残念ながら避けては通れない「衰え」です。
スマホを使うという条件下では、この衰えに加えピント合わせによる筋肉疲労、掛け外しの煩わしさ、画面のまぶしさなど、まさに「踏んだり蹴ったり」です。
そんな状況を少しでも軽減できるレンズの選び方を考えていきましょう。

まず、前回の20~40代前半の方々のお悩みとは何が違うのか。
下図をご覧ください。

この図は一般的に「年齢毎の近くにピントが合う距離」を示したものです。近くが見える距離の限界点と考えていただければイメージしやすいかもしれません。
例えば、30歳の方では「14cm」が限界点です。まだまだ余裕があります。
40歳の方では「20cm」になります。前回にお話した通り、スマホのサイト閲覧は平均20cmと言われていますので、かなりギリギリですがなんとか見ることはできます。

さて、ここからが大きな変化点になります。
45歳の方を見てください。「40cm」が限界となっています。もちろん個人差はありますが、このあたりから加速度的に近くが見えない=老眼が進行していきます。
50歳になる頃には「67cm」となります。これは成人男性がいっぱいに手を伸ばした程度の距離に相当します。もはや「近く」とは言えませんね。
目が良い(正視や遠視)方は何かしらの対処をしないと近くがどんどん見られなくなりますし、目が悪い(近視)方はメガネ(コンタクト)を外さないと全くピントが合いません。

こうなると、もはや筋肉の働きを「アシストする」という考え方ではカバーが難しくなります。40cmが見えるのであれば理屈上その①でご紹介した「アシストレンズ」でも30cm位にピントを合わせられますが、スマホの至近距離は厳しく、老眼の進行によりすぐに物足りなくなってしまいます。

こうした状況になってきた場合、スマホメガネのファーストチョイスはやはり遠近両用ということになります。
「なんだ、結局遠近両用か・・・。」と思われるかもしれませんが、「スマホ」に特化して考えると、それなりの理由がある選択をすることができますし、年代によってもおすすめできるものが変わっていきます。

○40代後半の方へのおすすめ
まず、40代後半に差し掛かり、近くが見にくくなり始めた皆様へのおすすめを考えます。
老眼に対しての自覚はあるものの、「周りに気づかれたくない」「老眼を認めたくない」という意識が強く働き、どうしても無理をしてしまうことが多いようです。事実、私どもレンズメーカーの社員ですらこう考える者は多くいる程ですので、無理もありません。
冒頭の『C.今の遠近両用だとあごを上げて見る必要があり、「いかにも老眼」という感じがイヤ』というお悩みとしっかり合致しますので、この視点から考えていきましょう。下図をご覧下さい。

遠近両用は「レンズの上部が遠く用、下部が近く用」という仕組みのレンズです。
この上部から下部への視線移動の距離(累進帯長)は、今の市場では一般的に13mm前後が多いです。理由としては遠く・近くの視野、ゆれ・歪みのバランスが良いからと考えます。
確かに、常用レンズとしてお使い頂くには一番良いかもしれません。ただし、この移動距離が長いほど近くを見るための場所が遠くなるということになります。
上図①②をご覧下さい。(①が一般的な13mm前後のものと仮定します)①の黒目の位置は②と比べるとかなり下にあることがわかります。
絵のマネをしようとすると結構目が辛いですよね。視線を思いきり下げる替わりに、あごを上げることで視線の位置を変える⇒「いかにも老眼」に見えてしまうというわけです。

これに対して②は視線移動が9mmと短く、かなり自然な状態であることがわかります。
人間工学では自然に下を見る角度は20°程と言われており、これを視線移動の距離に置き換えると約9mmとなります。
弊社にも、この視線移動の距離(累進帯長)が9mmの「ベルーナ エナジー」という商品があります。
※詳細はこちら:ベルーナ エナジー

こうした累進帯長が短いレンズであれば、自然に下を見るだけで適切な「ピントを近くに合わせる力」を得ることができ、あごを上げて見る位置を調整する必要もなく「いかにも老眼」を回避することができます。
また、この世代の方の多くが遠近両用に関しては「初心者」と言えます。
遠近は非常に便利なレンズではありますが、使いこなすには慣れとコツが必要です。
その一つが「視線の使い方」です。
先の図の通り一般的な遠近両用の近くを見る部分は案外下の方にあり、最適な場所で見ることには慣れが必要になりますし、「あごを上げる」仕草一つでも簡単ではありません。
こうした意味でも9mmのような累進帯長が短いレンズはおすすめすることができます。

しかし、デメリットもあります。
遠近両用は上部から下部に掛けて連続的に度数が変わることで、視線移動時に違和感が出ます。いわゆる「フワッと」した感覚です。この違和感は視線移動の距離(累進帯長)が短いほど強く感じます。同じ度数の変化量を13mmの中と9mmの中に詰め込むと、9mmのほうが急に変わっていく、という感じはおわかりいただけますでしょうか。「変化の階段」が急になり、ガツン!と変わるイメージです。
敏感な方や遠近が初めての方はこの感覚が非常に厳しいケースも多々ありますし、スマホに限らず常用で使用される場合は個人のライフスタイルによっても利便性は大きく変わりますので、こうした点も踏まえて眼鏡店様にご相談いただければと思います。

ただ、上記のデメリットに対しても40代後半=老眼の初期であれば、まだまだ度数の変化量が少なくそもそも「変化の階段」が緩やかですので、進行してから掛けるよりも慣れやすくなります。そうした意味でも40代後半の方にはおすすめしやすいものになります。

もう一点、ご予算に余裕があり掛替サイクルが早くなることをご理解の上であれば、一つの方法として、まずは早いうちに前回ご紹介した「アシストレンズ」から入り、物足りなくなったらすぐ遠近両用に掛替える、という順番を試していただいても良いかもしれません。
先に述べた通り、遠近初心者の方はまずは慣れが必要です。「アシストレンズ」も度数変化があり、構造上は遠近両用と似た仕組みです。但し、この度数変化の量が非常に弱く、視線移動の感覚も緩やかになっているので「変化に慣れる」という意味では最適です。是非この方法もご一考下さい。

今回は以上になります。次回は50代の方に向けたレンズ選びをアドバイスさせていただきたいと思います。

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2018年 12月 初版